2003年12月25日 (木曜日)

XML Binary

XML Binaryと聞くと、バイナリデータをXMLで記述する方法と想像する人が多いのではないか。実は、その逆で「XMLをバイナリ化する」 という議論である。「テキストで書かれていてHuman Readableである」ということがXMLの根本の特徴の一つだから、これだけ聞くとXMLの掟破りのように聞こえる。しかし、XMLが幅広く普及する中で、あらゆる環境でXMLを処理する必要性が増し、携帯機器メーカーなどを中心にW3C内で討議が始まったものだ。

略称「XML Binary」、正式には「Binary Interchange of XML Information Item Sets」。今年9月の初回のミーティングで出たニーズは以下のような点に整理される。

 1) メモリ、記憶装置の容量が限られる環境で処理したい
 2) CPU処理スピードが貧弱な環境で処理したい
 3) オーバーヘッドの高いWebサービスを高速化したい
 4) 映像などのバイナリデータをエンコーディングしないで埋め込みたい
 5) XMLデータにランダムアクセスをしたい

このミーティングに、いくつかのプロポーザルが出されたが、日本から唯一出されたプロポーザルがKDDI研究所の「XEUS」(ゼウス)だ。XEUSは携帯電話での実装を目的に開発されたXMLのバイナリ化手法であり、上記のニーズでは特に1と2ににフォーカスしている。しかし、仕様自体は携帯電話や特定のスキーマに限定されたものではない。XEUSでは、任意の与えられたスキーマに最適の圧縮ルールを作り、そのルールに基づいて圧縮/伸張を行なう。

XEUSのアーキテクトである同研究所の小林亜令(あれい)さんによると、XEUSは次のような特長を持っている。

 ・WBXML(WAP用圧縮)などと違い、特定のボキャブラリに依存しない
 ・gzip(既存技術の一つ)やXMill(XML特化圧縮の一つ)に比べて高圧縮率
 ・gzipやXMillに比べてencode, decodeの速度が速い(MXP1対比9倍)
 ・既存技術に比べてencode, decodeのプログラムサイズが小さい

いささか、XEUSの宣伝のようになってしまった。しかし、最近XMLの話題としては、Webサービスや業界ボキャブラリの標準化など上位層での技術開発への注目が高い中、XML活用環境をさらに広げるための下位層における技術開発の動きの一つとして気になる存在だ。

XEUSは近い将来に同社の携帯電話の一部に搭載される予定とのこと。このような、一見根本を覆すようにも見える挑戦がブレークスルーを実現していくのだろう。日本発のこの技術が、W3Cの議論を経て世界的なユビキタス環境でのXMLの活用に役立てるよう願ってやまない。

Posted by Pina Hirano at 2003年12月25日 22:02 | トラックバック
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