2004年05月09日 (日曜日)

Google IPOのやり方は良くないのか? (企業戦略とコーポレートガバナンス)

GoogleのIPOについての梅田さんの記事が話題になっている。

GoogleのIPO申請、そのやり方に異議あり (抜粋:CNET Japan)
これまでの「公開企業の資本構造のルール」に則って、粛々と株式公開するので、何が不足なのか。Googleの唯我独尊的経営思想をチェックする機能を、どうしても「株式公開」時に、コーポレートガバナンスの形で、構造的に組み込まなければならない。再度、結論を言う。僕は、この株式公開申請のままGoogleがIPOすることに、反対の意を表明する。

しかし、私は、彼らのチャレンジを買っている。私が「前例のないこと」にワクワクする性格だからというだけではない。私自身もベンチャー企業の経営者として、どのようなIPOにするのかは創業時からの課題である。資本政策、株主構成、取締役構成、商法改正への対応など、考えなければならないことは数多い。これらのことについては、専門家も多くテクニカルな議論になりやすい。しかし、これらのことを考え判断をする上でも忘れてならないのは、「成長し、良い業績を上げるため」という視点である。

企業の目指すところは、株主のためにも、社員のためにもそして顧客のためにも「業績」である。「業績」とは、その会社がどれだけの価値を提供することができたかのバロメーターだ。私に限らず、経営者は会社が将来に向けてよりよい業績を上げるにはどうすれば良いか、つまり、より多くの価値を出すための方策を日夜考えているはずだ。

一方でコーポレートガバナンスは、その企業が社会的に正しく運営され、企業のさまざまなリスクを下げるための仕組みであり、つまり企業としてのボトムラインを支えるものであって、業績を上げるためのものではない。だから、コーポレートガバナンスが素晴らしくても業績が悪ければその会社は株主にとっても、社員にとってもそして顧客にとっても悪い会社だ。今回、Googleの方法は、創業者の議決権を恣意的に上げていることから、コーポレートガバナンス上よろしくないという意見がでている。しかし、今回は現実にGoogleの経営陣の考える経営戦略と、一般的に良いコーポレートガバナンスと言われている形とぶつかってしまったわけだ。そして、会社の独創性、スピード、そして競争力を失わないために、普通の形に収めるのではなく、これまでも経営をリードしてきた創業者2人に特別の力を(ルールの範囲内で)持たせるということが、「"An Owner's Manual" for Google's Shareholders」として形になった。これを宣言することは、嫌気を催す投資家もいるだろう、非難を受けることもあるだろう。しかし、2人はそれが将来的な業績のために良いことだと信じ、取締役会はそれを支持し、これからの株主にそれを提案しているわけだ。

周りの人たちは、それに乗るか乗らないかの選択をすればいい。「そんな傲慢な経営陣についていけるか」と思えば買わなければよいし、「よし賭けてみよう」と思えば買えばいい。

私が創業社長だからこの株式公開案を肯定しているわけではない。この株式公開案はGoogleの成長を目指した重要な「戦略」だとみているからだ。彼らが傲慢かどうかにあまりは興味はなく、この「戦略」がどういう結果になるのか、つまり、対Yahoo!やMSNへの戦術や、最終的には業績にどう現れるかに大いに興味があるのだ。

彼らの戦略が正しいかどうかは、GoogleのIPO後の業績が証明する。Larry PageとSergey Brinには、自分たちの戦略が正しかったことを証明するために、これからも全身全霊を傾けてGoogleの経営に当たって欲しい。さらなる成功を収めて「前例のない戦略」のサクセスストーリーを作って欲しい。

Posted by Pina Hirano at 2004年05月09日 13:59 | トラックバック
Comments
Post a comment









Remember personal info?