2004年07月11日 (日曜日)

開票率1%で当確が出ると選挙に行く意味がないのか?

今日は参議院選挙の投票日である。今年は、多くの人に「投票に行きますか?」と聞いて回った。しかし残念なことに、私の周りでもおよそ2割程度は「行くつもりはない」という人がいた。中には投票用紙を普通のDMと同様に捨ててしまっている人もいた。行かない理由の中で、気になったのが何人かの人が「開票率1%で当確が出るような、あらかじめ決まっているような選挙に行っても意味がない」ということを言ったこと。実は、これは大きな誤解である。

「当確」は、各報道機関つまりTVのキー局や共同通信といった報道エージェンシーが競って早く出している。「確実な情報をより早く」というわけだ。昨年の衆議院選挙などでは、共同通信は開票と同時に当確を出すことを売りにしていたくらいだ。そして、この当確は支援団体の組織票の予測などだけではなく全国の投票所における綿密な出口調査に基づいて各社の判断で決めている訳で、実際の投票行為と無関係に決めているわけではない。つまり、当日の投票開始から終了間際までの出口調査によってかなりの確率で当落を予測することが可能なわけである。さらに、まれに当確が外れることがあるのもこのことを裏付けている。

つまり、開票率1%で当確が出るから投票に意味がないのではなく、実際の投票の調査に基づいて開票率1%でも当確が出る候補者がいるということである。

Posted by Pina Hirano at 2004年07月11日 07:20 | トラックバック
Comments

Pinaさん、こんばんわ、ごぶさたしております、

その方は母集団という考え方を完全に間違っています。1%というのは、「投票した人」を母集団とした時の1%のサンプリングで推計統計できるということです。「国民全部」を母集団としていません。その方に聞きたい、あなたは選挙権を放棄する事により、推計にもカウントされない存在になっているといことを自覚しているのですか、と...あなたが国民全部の意思が1%の出口調査結果で出るのだと考えて投票しなかったのだとすれば、あなたは「国民全部」という母集団の一員でないと明言しているのと同じだと...

それから、付言すればサンプリングは、本来ランダムサンプリングと母集団の分布が正規分布であることが仮定されています。出口調査の結果の統計処理まである程度あきらかにされないと、信頼性を検証することはできません。

Posted by: ひでき at 2004年07月11日 21:25

ひできさん、コメントありがとうございます。ふじすえの当選で、まだ興奮冷めやらぬという状態です。(寝ないといけないのに^^;)

ところで、せっかくのコメントにちょっとだけチャチャを入れさせてもらうと、ここで言ってた1%というのはサンプリングの%ではなく開票率なんです。なので、実は開票率0%でも当確って出てしまうんですね!昨日は、8時ちょうどには某通信社にいましたが、8時になった瞬間に5本くらい当確ニュースが流れてました(笑)。

Posted by: Pina at 2004年07月12日 06:23

Pinaさん、こんばんわ、

失礼いたしました。つい、先日どこかでだれかが「統計学的に数パーセントで推計ができるからみんなが選挙なんていく必要はない」といっているという記事を読んで、怒り心頭に達していたので、それと混同してしまいました。

調べてみたら、事前調査と当日の「ヤマ票読み」というのを重視しているようです。直感的統計処理、直感的ランダムサンプリングといったところでしょうか?

http://www.dokidokiradio.info/mation/news/Diary_0728.htm

Posted by: ひでき at 2004年07月12日 21:22

開票率1%で当確が出ることが「出来レース」みたいで自分が投票することに価値を見出せなくなるのかもしれませんが、もしそう思うなら、現状の国会も考えていただきたいですね。
多くの組織票により国会議員が構成され、与党が単独過半数を占め、慣習により必ず党議拘束をかけるとなると、採決などほとんど「出来レース」です。こっちの方がもっと不健全で意味がないではないですか。
意味があるものに変えるには、一人ひとりが投票しようと思わないと。いつまでも政治は少数の参加者だけのものになってしまいます。

Posted by: 夫婦別姓を待つ身 at 2004年07月13日 12:56

ひできさんのリンク面白かったです。「ヤマ票読み」は知りませんでした。

ひできさんが憤慨した記事を書かれた人は、サンプル調査がある程度の精度を持っていると理解されている方で、ある意味インテリの方なんでしょうね。普通はどちらかというと「夫婦別姓を待つ身」さんの指摘のように「たった1%といった小さい数字で予想できるほどあらかじめ決まってるのなら選挙の意味がない」という意見が多いように思います。

調査という観点で言えば、サンプル1%での予測が信用できないという人は、TVや新聞でやってる世論調査などは全くもって信用できないなとになります。もし10,000人に調査したって有権者の0.01%でしかないんですからね!気になったので各メディアの世論調査のサンプル数を少し調べてみました。統計には詳しくないのですが、数字だけ見る限りどうも1,800人あたりに何か有意性に関する基準のようなものがあるようです。どなたかご存知の方、教えてください!

日本経済新聞:1,874 (2004年6月)
読売新聞:1,869 (2004年6月 - 読売全国世論調査)
朝日新聞:1,023 (2004年6月 - 第5回連続世論調査)
NHK:1,800 (2004年4月 - イラク自衛隊派遣と国民意識)

Posted by: Pina at 2004年07月13日 20:01

-開票率0%の予測:2種類のプロジェクション(予測)-

出口調査を少し研究致しております。いまさらコメントを、という感じも拭えませんが、出口調査を少しでも理解して頂くため、コメントをさせて頂きます。

出口調査は、開票率0%でもプロジェクション(予測)が可能です。

日本で全国レベルで行われたのは1992年の参議院選挙からですが、アメリカでは1967年だっと思いますがニューヨーク州議会選挙からとされているようです。

アメリカと日本の出口調査の決定的な違いは、アメリカは東部海岸の大票田において出口調査のプロジェクションが行われた時には、西部海岸諸州ではまだ投票が行われていることにあります。時差は3時間です。

特にランドスライドな勝利の時には早期予測が可能となります。1980年レーガン対カーター大統領選挙では、東部時間午前11時過ぎに、レーガン勝利のプロジェクションが出され、ネットワークは一斉に報じ始めました。

出口調査は、社会調査の一部です。その価値は、早期予測だけにあるのではありませんが、ネットワーク・テレビなどが多額の資金を拠出し合い、余計な競争を避けているため、現在のアメリカ大統領選挙では早期予測が大きな目的となっております。

しかし、出口調査は、より正確な社会調査を求める中から生み出されましたことを確認しておく必要はあるでしょう。

2003年、グルジア(ジョージア)のシェワルナゼ大統領は、市民と野党の行った出口調査、さらに、アメリカの社会調査会社が行った出口調査の結果が、政府公表の投票結果とあまりにかけ離れていることを示され、辞任に至りました。

市民から差し出されたバラの花を静かに受け取り大統領を辞任したシェワルナゼ。グルジアでは「バラの革命」と呼ばれているそうです。

アメリカの社会調査会社は、すでに世界各地で出口調査の依頼を受けて行っております。古くはマルコス大統領のフィリピン、90年代には、台湾、メキシコ、ロシア、アフリカ諸国などなどです。

日本では、出口調査に否定的な市民感情があることを理解致しておりますが、出口調査は、本来市民の権利を守るためにもあることにも理解が必要であると思います。

出口調査、という用語は変更してもいいと思います。「選挙日ボランティア報告」などではいかがでしょうか。

蛇足ですが、サンプリングは、正規分布を仮定する必要はありません。出口調査では比率が使われ、アメリカでは層別2段階によりプリーシンクトが確率比例抽出で選ばれます。日本でも層別2段階が多いようですが、個々の実施の仕方や、過去の選挙結果により重み付けなどは、調査によって異なります。

出口調査が行われる以前の「当確」予測では、開票結果とともにリグレッション・モデルなども使われて予測されたこともありますが、この場合には正規分布が仮定されることになります。

批評家達は、出口調査の方法論や結果を公表するべきである、と盛んに報道されておりますが、アメリカでは出口調査の結果はすべて保管され、閲覧可能です。ただし方法論は、非常に発達しており、一般の方々が読まれましても、理解することは難しいようです。もちろん、方法論は、調査会社の企業秘密ですからすべてが公表されることはありません。

出口調査以前には、投票日前の社会調査により大票田などがあらかじめ調査されておりました。従いまして、出口調査以前にも開票率0%でも「当確」が出たことがあると思います。各地の開票状況の報告を受けながら、メディアの選挙担当の人たちが、事前の社会調査の結果と照らし合わせて「当確」を出していたそうです。

出口調査は、1990年以前の選挙の「当確」とはまったく異なった社会調査方法で行われていますが、当日の投票行動の方が、事前の社会調査よりもより正確な投票結果を予測できることになるわけです。

Posted by: リーサーチャ at 2005年06月21日 15:46

リーサーチャさん、詳細なコメントありがとうございます。一口に出口調査と言ってもいろんな背景があるんですね。ところで、「プリーシンクト」って何でしょうか?

Posted by: Pina at 2005年06月25日 22:41

コメントありがとうございます。「プリーシンクト」は、もともとはキリスト教教会の管区という意味だったそうですが、現在では、住居による選挙の投票区割りが主な意味になっているようです。

ひできさんのコメントに対しまして、正規分布を仮定していない、と言ってしまいましたが、正確には、チェビチェフの不等式はすべてのサンプル理論に適用されるのですが、そのままでは精度が悪いので、母集団が大きい場合(1万以上もあれば十二分です)には正規分布を仮定して信頼区間の計算を行います。

アメリカでは大統領選挙で「賭け」が行われていることをご存知でしょうか。「賭け」と「予測」は、究極のところで接点を持っているようです。

サンプル数に関しては、理論的には1500もあれば十分ですね。収束をしてゆきますから。計算式は、様々なウェブ・サイトに掲載されているようです。

ただし、出口調査では、アメリカの場合は14万人前後に行っております。理論的には必要がないようなのですが、精度を上げたいためにこのようになっているようです。

Pinaさんのご指摘のメディアの調査実態は、もっと問題にされてもいいと思います。電話による調査では、おそらく不在や協力が得られないためにサンプル理論から大きく離れてしまい、結果についてはなにも保障されないような調査も予想されます。それでも、企画として行われれば、メディア各社は、結果にうまく「重み」をつけて公表することでしょう。「重み」のつけ方に関しては、判らないようにして。

一人一人を選ぶ確率をすべて等しくする。これがサンプル理論の基本ですね。

この意味では、社会調査は本来、とても有意義なものであるはずなのですが、メディア各社の方法は、経済性が最優先であることは、致し方がない、というところなのでしょう。

日本の社会調査の方法論がさらに発展して、日本の社会がさらに住みよい社会になること、そして、その方法論により開発国の人々が恩恵を蒙ることができるようになることを心から願うものです。

Posted by: リーサーチャ at 2005年06月28日 03:01
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