2004年12月01日 (水曜日)

ソフトウェアで稼ぐことはできなくなる?

競争はどんどん国際的に(「死んでしまったら私のことなんか誰も話さない」より)を読んだ。

そう、市場はどんどん国際的になる。だから競争もどんどん国際的になる。日本のソフトウェアもどんどん国際的に出て行くべきだ。しかし、海外市場の話をする前に、国内の政策に大きな問題がある。

日経コンピュータ10月18日号のインタビュー記事で、経済産業省商務情報処理振興課長の小林さんが「OSS(オープンソースソフトウェア)の普及に伴ってITベンダーはサービスだけで利益を上げざるを得なくなる。」と言う発言をされている。ソフトウェアはどんどんフリーになっていくので、その付帯サービスで稼ぎましょうということだ。経済産業省の人のこのような論旨を聞いたのはこれが初めてではない。他のセミナーでも「Linuxは、OSSで導入や保守などサービスが成り立っている好例」とか「日本は個別にきめ細かなサービスを提供することは得意」などという話を何回か聞いている。

もちろん、OSSによってユーザーに選択肢が増えることは良いことだと考える。開発手法としての長所もある。国や自治体がOSSでシステムを構築しようが、選択の自由だ。しかし、だからといってソフトウェアで稼げずにサービスで稼ぐしかなくなるということはない。

ソフトウェアの大幅な輸入超過が問題と言いながら、経済産業省の政策や論調は日本のソフトウェアの輸出(=海外展開)を考えているとは思えない。ソフトウェアを輸出するには、ソフトウェア・プロダクトしかないからだ。付帯サービスを輸出するのは至難の技だ。ライセンシングの手法は、物理的なメディアからダウンロード、サブスクリプションなどに変わっていくだろうが、開発したソフトウェアそのものの価値を提供して対価を得るというビジネスはこれからも成り立つはずだ。ソフトウェアは頭脳活動の集積であり、典型的な知的財産と言える。これから対価が得られなかったり稼げないというのは、知財そのものの価値を認めないということだ。

競争力のあるソフトウェア・プロダクトを海外にも出して行くには、ソフトウェア・プロダクト開発の層が厚くならないといけない。ソフトウェア・プロダクトの開発会社がもっと増えなければならない。にもかかわらず「ソフトウェア・プロダクトで稼げなくなる」というプロパガンダを経済産業省が唱えるということは、国内ソフトウェア産業を逆方向に誘導していることに他ならない。

逆にもっともっと日本のソフトウェア・プロダクト企業が増えるような施策をしなければ。保護、補助を求めているわけではない。まずは、ソフトウェア・プロダクトの知財価値と国際市場における意味を再認識し、ソフトウェア・プロダクト開発企業の成長、増加を阻害するようなことはやめてもらいたい。そして、その上でソフトウェアの輸出を促進する政策を立てて欲しい。

Posted by Pina Hirano at 2004年12月01日 20:24 | トラックバック はてなブックマーク - ソフトウェアで稼ぐことはできなくなる? このエントリーを含むはてなブックマーク
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