2006年05月26日 (金曜日)

NILS 2006 Spring - 充実の第2日目 〔セッションメモ〕

NILS第2日目。朝から夕方までみっちりセッションが埋まっている。

9:00からの最初のセッションは「Web 2.0時代のインターネット広告市場の展望」。ドリコムの内藤さんは「Webのdead spaceをメディアに変える」と強調。まだまだ市場が広がるとした。さらに、広告全体で6兆円と言うが、純粋に広告として出されるもの以外に「不動産サイトの不動産情報」「人材紹介サイトの人材情報」なども立派な広告だとして、広告市場はさらなる大きな広がりを持つとした。裏セッションは、「ベンチャーと大手企業のwin-win戦略」。

第2番目のセッションは、「Web 2.0サービス開発の潮流」。壇上に上がったのは、Adobe Systemsの田中さん、グリーのCTO藤本さん、Skypeの日本ビジネス担当兼技術責任者の岩田さん。そしてモデレータは「情報化社会の航海図」の渡辺聡さん。以下、セッションメモ。
現時点で、Skypeのダウンロード総数は全世界で3億に達した。登録数は1億を突破。うち日本の登録数は400万人。そして、全世界での同時オンライン数の平均は600万人。SkypeはAPIを公開しており、この周りの登録デベロッパーが3,000人以上。日本法人は4人。
開発力≠技術力。開発力とは、技術力にコスト、スピード、品質を加えたもの。
CTOの役目は、エンジニアの趣向と経営的視点を結ぶこと。
成功に必要な3つのプラットフォーム。(1)Technology Platform, (2)Social Plaform, (3)Revenue Platform3つの全てを満たさなくてはならない。Technology Platformの条件は、(a)みんなが持っている、(b)簡単に使える、(c)簡単につながる。みんなが持っている例としては、ブラウザ、Flash、Email、IM、ケータイ、iPodなど。Social Platformとはユーザーと結ぶ仕掛け。SNS、IMコミュニティ、アバターワールドなど。Revenue Platformは、Web 2.0的には、(a)売却(笑)、(b)広告連動、(c)小額課金Paypal(US), Premium SMS(Europe), Felica(日本)など。

第3番目のセッションは、「LAB(ラボ) - 新しいR&Dマネジメントの考察」、登壇者は、ラボまたはラボ的組織を持っている、サイボウズ・ラボ社長の畑さん、楽天前CTOの吉田さん、NTTレゾナントの濱野さん。モデレータのECナビCEOの宇佐美さんも最近ラボを立ち上げたとのこと。セッションを通じてわかったことは、NTTは別として、ラボの設立は採用戦略と最も強く結びついているということ。特にサイボウズの畑さんは、「ラボの設立は採用戦略」と言い切っており、ラボの設立でこれまでは弱かったサイボウズのテクノロジーブランドを上げるのだという。以下、その他のメモ。
・良い技術者を育てられるかどうかは、エンジニアがどう学ぶかではなく、経営幹部がどれだけテクノロジーを学ぶか。
・技術力と研究開発力をごっちゃにしている会社が多い。
・ラボはマネタイズとは分けたほうが良い。
・ラボの評価:3年以内にヒットがなかったらつぶされても仕方ない。(サイボウズ・ラボ)
全体の進行がいまひとつしまりがなかったのが残念。

第4番目のセッションは、「Web 2.0 for Enterprise (wiki, SNS)」。Ross MayfieldとRealcomの谷本さんの共演。他のセッションと違い自社ソフトのアピールが多いセッションだった(笑)。Rossはまず「Web 2.0は『技術』ではない。Web 2.0とは『人』だ」とアピール。理由は、Web 2.0と言われている技術はほとんどが最近出てきたものではなく、それらの使い方が人と人のネットワークという形に変わったからだという。そして、自らが提案する「Enterprise 2.0」を「Enterprise 2.0 is use of social software in compnay」と定義付けた。
「blogやwikiはunstructuredな形式だが、これで企業情報を扱えるのか?」という質問に対してRossは、「企業であっても人と人のコミュニケーションは全てunstructuredだ。Webもunstructuredだが、個人でも企業でも皆が使っている。それをGoogleがtechnologyを持って使いやすくしているわけだ。定性的な情報は企業であってもunstructuredでいいはず。」と回答。また、wikiとKMの違いについて「wikiは民主的だが、KMは管理的」と付け加えた。
谷本さんは、RealcomがKMを中心にしているのは「後付け」であったという同社の沿革(^^;を披瀝した後、今後はEnterprise 2.0の流れは企業にも来ると評価し、同社が今後IBM, Googleと組んでいくことを表明した。「MSとは組まないのか」との問いに「MSは、企業カルチャーがWin-Winではなく、Take, Take, Takeなので組むつもりは無い」と言い放ち、会場爆笑。
会場から「NotesをWikiに移行できるのか?」という質問があって、Rossはかなり強気な回答をしていたが、これはさすがにまだかなりのギャップがあるというのが私の実感。私も、社内で今Notesに変わる情報共有手段として社長Wikiを構築中だが、ファイルの扱いや、定型的にしたい部分の扱い、ワークフローとの連携などではまだ不便な思いをしている。Rossは知っていて強気の発言をしたのか、実はNotesのことをよく知らないのか?

2日目最後のセッションは、「ネットメディアの将来展望」。登壇者は、オールアバウト社長の江幡さん、カカクコム社長の穐田さん、ゴルフダイジェストオンライン社長の石坂さん、楽天前CTOの吉田さん、リクルートインターネットマーケティング局長の伊藤さんという顔ぶれ。以下、メモ。
【オールアバウト(江幡さん)】
ビジネスモデルとして(1)コンテンツ、(2)ユーザーとの接点、(3)マネタイズがポイント。(1)と(2)については今後Web 2.0の流れを取り入れていくが、(3)はロングテールに行くのではなくWeb 1.0的な収益モデルで行く予定。
私の質問「江幡さんは、『オールアバウトの競合は無い』と言い切ったが、私がネットで調べものをする際に、オールアバウトと同様に最近良くヒットするのがWikipedia。どちらも人力での編集だし、競合とは言えないのか?もし競合でないのならWikipediaをどのように見ているのか?」 江幡さんの回答⇒「その道のエキスパートによるコンテンツであって、オールアバウトでカバーしている領域では内容的に比較にならないと考えている。但し、今後、Wiki的な機能--誰でも自由に編集できるわけではないが筆者以外の人も参加できるような--を入れていきたいと考えている。
【リクルート(伊藤さん)】
既にリクルートの売上の1/3がWebとなっている(残り1/3市販誌、1/3フリーペーパー)。リクルートの立場としては、(1)メディアとしての立場と(2)広告主としての立場がある。広告主としての立場で言うとWeb 2.0になって劇的に費用対効果が良くなっている。現在、AdWordsでは常時200~250万ワードを登録している(驚きの数!)が、以前はこういうことは不可能だった。Web 2.0からはかなり恩恵を受けている。一方で、メディアとしての立場では、「前課金モデル」つまり1.0を今後とも続けていう計画。1.0と2.0を最もうまく組み合わせられる会社との自負を持っている。
吉田さんから質問「リクルートは今後ポータルはやらないのか?」、伊藤さんの回答⇒リクルートは今後ポータルをやるつもりはない。平成11年にISIZEというポータルを始めたが、やってみてわかったのは、ターゲットの違うコンテンツを寄せ集めても相乗効果はないということ。しかも、リクルートのコンテンツは、不動産、結婚、就職など「毎日必要ではない」コンテンツが多いので、ポータルとしてやるよりも個別サイトで「必要なときに来てもらう」という形でやったほうが効果が上がるということがわかり、現在は各メディア個別のサイトとなっている。
さらに吉田さんから質問「『R25』はポータルになるのでは?」、伊藤さんの回答⇒これまでリクルートは「商材切り」だったが、「R25」は「属性切り」で初めて成功した。確かに社内では、R25は「ペーパーポータル」と呼ばれていて、今後「R18」とか「R35」とかいうものをやる可能性はあるが、全般的なWebポータルをやる計画は無い。
今後の計画:若者でもネットで検索でない人も多い。そういう人は、カウンターに来る。リクルートの情報コンビニ的なリアル店舗を全国展開する予定。1,000店くらい出したい(希望)
【ゴルフダイジェストオンライン(石坂さん)】
ブログによって来る人は対して増えていないが、滞在時間が延びたのが効果。今後は。滞在時間も指標にしていきたい。
リアルのゴルフダイジェストとの連携はまったくない。以前に考えたことはあったが、人種が違うのでできない。
【楽天(吉田さん)】
Web 1.0も2.0も本質的に大事なところは変わらない。ロングテールはビジネスモデルというよりは、広告配信技術が進化しただけと考えている。
石坂さんから吉田さんに質問「楽天は専門サイトの行く先をどうみているのか?」、吉田さんの回答⇒しばらく前まで、インターネットの世界では、1位、2位しか生き残れないという話がされていたがこれからはそういうことはないと考えている。それぞれの顧客の好みにあったサービスが数多く成り立つのではないか。
【カカクコム(穐田さん)】
6月に社長を譲って自分自身が2.0になってしまうのでこれからの話はあまりできない(笑)。
質問(江幡さん⇒穐田さん):「ユーザーエージェントをどんどん目指すのか?その場合に収入モデルは?」、穐田さんの回答⇒ユーザーエージェントについては95年から考えてきており、絶対可能で、経常利益100億円まで可能だと思う。課金はYahoo!みたいにいきなり全員有償ということはしないが、課金可能だと考えている。

===
朝イチからの長いセッションは予定の17:15を過ぎて終わった。今回は、全体を通してWeb 2.0の切り口が多かったので、内容の濃さに関して少し不安があったのだけれども期待通り具体的で充実した内容だった。NILSでは、セッションだけではなく休憩時間にも多くのコミュニケーションが可能だ。今回も新しいビジネスをドライブしている多くの経営者責任者の生の声を聞き、直接情報交換することで、自らの経営、戦略の参考になることも多かった。主宰の小林さんに感謝!お疲れさまでした。

<おまけ:この2日間での名刺交換>
 NILSは知り合い率も高いのだが、参加者200人超ともなると当然知らない人も多い。また、新しい道に踏み出した人もいる。この2日間で名刺交換させていただいた方は以下の通り。ありがとうございます。(アルファベット>50音順)

Ross Mayfield / Socialtext CEO
Scott Dietzenさん / Zimbra CTO, Ph.D
岩田真一さん / Skype日本マーケット開発マネージャ(Ariel Networksから転籍)
・上田祐司さん / ガイアックス代表取締役CEO(久しぶり)
・加藤隆哉さん / サイバード取締役副社長
・栗原 雅さん / Office OTOM(日経新聞記者から独立)
・塩野 誠さん / ライブドア証券取締役(久しぶり)
・柴田 啓さん / ベンチャーリパブリック代表取締役社長
・砂川 大さん / ロケーションバリュー代表取締役社長
高山知朗さん / オーションブリッジ代表取締役社長
・武永修一さん / デファクトスタンダード代表取締役CEO
・内藤裕紀さん / ドリコム代表取締役社長
・永井一美さん / アクシスソフト代表取締役社長(社長就任)
・永岡英則さん / ECナビ取締役CFO
・林 類さん / ライブドア証券投資銀行部長
・福岡 徹さん / PRESIDIO Direcor
・芳地一也さん / グロービスメディア推進室
・細田洋平さん / JIMOS取締役副社長
本間 毅さん / ソニー ネットメディア開発室(お久しぶり)
・間下直晃さん / ブイキューブ社長/CEO
・水野千秋さん / ネットマイル代表取締役
御手洗大祐さん / 日本技芸代表取締役社長(オフィス移転)
・松原礼奈さん / 日経新聞ベンチャー市場部記者
・村松高志さん / ブイキューブ社長室
・湯崎英彦さん / アッカネットワークス代表取締役副社長(久しぶり)
・吉田浩一郎さん / ドリコム経営企画室事業企画部長
以上、ありがとうございました!

※ブログをお持ちの方はリンクしますので、連絡(コメントかメール)ください。

Posted by Pina Hirano at 2006年05月26日 23:59 | トラックバック
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