2006年09月27日 (水曜日)

THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2006

"The Future of Web 2.0"をテーマとしてJoi(伊藤穰一)がプロデュースした「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2006」が開催された。

Creative Commonsの強力な推進者Lawrence Lessig教授をはじめ、FirefoxをリリースしているMozilla CorporationのMitchell Baker CEO, TechnoratiのChief TechnologistのTantec Celik、Stupid Networkで有名なDavid Isenbergなど世界的にも著名なスピーカーを揃えてのカンファレンスだ。

濃い内容だった。

まず、Joiから「なぜCONTEXTなのか?」の話。これから、CONTENTではなくCONTEXTが重要になっていくという。価値は情報そのもの以上にそのCONTEXTによって決まるということだ。たとえば、株価情報。同じ情報も15分経つと急激に価値が下がってしまう。情報は必要な時、必要なシチュエーションつまりCONTEXTで存在してこそ価値が高いということ。そしてCONTENTではなく価値を高めるCONTEXTをどう提供できるかが課題とした。また、Web 1.0 → Bubble 1.0 → Web 2.0 → Bubble 2.0への流れについて言及した。これは2010年を予測するにあたり面白い洞察である(写真)。

一番聴きたかったLawrence Lessigの講演内容は、Creative Commonsの背景にある、現在のインターネットの危惧すべき事態についての説明。例によって非常にテンポのよいプレゼンテーション。「例によって」というが、実はLessigのプレゼンテーションを生で見たのは初めてである(笑)。Creative Commonsについては理解しているつもりだったし、自分でも2003年からこのブログのコンテンツはCreative Commonsにしているのだけれども、その文化に与える影響これまでのRead Only <RO> InternetとRead and Write <RW> Internetについて再認識した。コンテンツのreuse, remixを実際に画面に表示して持論を展開。行き過ぎてきている昨今のDRMを激しく攻撃した(笑)。トラディショナルな著作権保護の立場の人にはかなり嫌なプレゼンだったに違いない。最後にJoiが解説しながら流してくれた日本語のプロモーションビデオは、かなりソフトだったけど、Ressigのプレゼンはそんなトーンではなかった(笑)。

TantecのMicroformatsの話はわかりやすく、まだ日本では認知度が低いMicroformatsについて参加した人の多くが理解できたのではないかと思う。Microformatsは、Web 2.0のキーワードの一つに挙げられるもので、実体はHTMLに埋め込み可能なデータの意味づけだ。特定の部分に絞り込むことが特徴で、シンプルだ。メジャーなところでは、hCard(vCardのMicroformats版:名刺情報)、hCalendar(iCalendarのMicoroformats版:カレンダー情報)、rel-license(ライセンス情報)などがある。具体的な内容もそのうち紹介したい。Tantecは、講演の最後に日本語の翻訳を手伝ってほしいと訴えた。microformats.orgを確認してみたら、翻訳完了しているのはrel-licenseだけ、翻訳中なのが、rel-nofollow、rel-tag、XOXOの3つだけ。この週末にでもhCalendarの翻訳に貢献してみるか。

Joiの誘いで、講演後のDinnerにも参加させてもらった。face to faceも面白い。Lessigに直接「ソフトウェアベンダーとしてオープンソース以外にCreative Commonsに貢献する方法は何がよいと思うか?」と訊いてみた。Lessigの答えは、「現在、CCはソフトウェアそのものよりも、音楽や動画などのコンテンツに注力していて、再利用や編集などを助けるようなソフトウェアは役に立つと思う」とのことだった。さらに、「CCの活動は大変だという話だったが、大変さにおいて日本と米国の違いがあるか?」という訊いたら、「日本では予算の問題があって専任の人を置けない」ということだった。たとえば米国では寄付も多いし、台湾では政府の援助があるのだという。Creative Commons Japanの野田さんもその点を強調していた。日本も知財立国を目指すのであれば既得権益ばかりを守るのではなく、知財の新たな可能性にも国が投資をしてもいいと考えるがどうだろうか?
Michellとは、オープンソースのマーケティングについて話し合った。Firefoxは、オープンソースだがかなり意識的にプロフェッショナルなマーケティングをしていて、元マーケッターとしては、このあたりをどのように意識し、どのようにマネージしているのかは気になる点だったからだ。Tantecは、これから日本でのMicroformats普及に力を入れたいと言っていた。うちのc2talkは、Calendar Scriptで、hCalenderもサポートできる。ただ、現在公開されているカレンダーではhCalenderを読み込んで使っているものはないので、事例を作りたいところだ。ブラジル文化省のClaudio Pradoは、「ブラジルは国自体がRemixなんだ」と強調。Web 2.0以前から混ぜ合わさることになれているのだそうだ(笑)。たとえば、ユダヤ教信者とイスラム教信者もブラジルでは仲が良く、結婚することも頻繁にあうのだという。昨今のイスラエルでの衝突でも、ブラジル国内ではユダヤ教信者とイスラム教信者が手を取り合って戦争反対のデモをしたのだそうだ。
あっと言う間に時間が過ぎ、余韻を残しながらDinnerは終了。

それにしても惜しむらくは、これほどのスピーカーが揃った充実したカンファレンスにもかかわらず、参加者は会場の半分くらいだったことだ。会場では「有料だから仕方ない」との声もあったが、私の知人でも「知ってたら参加したのに!」という人がいたことから、残念ながら告知が十分でなかったのではないだろうか。来年もまた開催を望むとともに、ぜひ広く告知してほしいものだ。

Posted by Pina Hirano at 2006年09月27日 23:54 | トラックバック はてなブックマーク - THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2006 このエントリーを含むはてなブックマーク
Comments

こんばんは、NTVPのVC塾で何度かお世話になりましたsuguroです。
私もThe New Text Conferenceに行きました。
(Pinaさんの姿もお見受けしました)

料金的な都合でずっと無料のセッションを見ていたのですが、今となってはお金を払ってでも貴重な有料セッションの話を聞けばよかった…!と悔やみます。

Posted by: sgr at 2006年10月03日 00:29
Post a comment









Remember personal info?